2006年10月21日
■「風の歌を聴け」
と、いうことで、まずは村上春樹のデビュー作。
いや、しかし、なつかしいな、デレク・ハートフィールド!。昔はよく読んでいた。何冊か持っているはずなんだが、どこやっちゃったかな。すっかりなつかしの作家になっちゃった。こんなところで出会えるとは。
一般にはロバート・E・ハワードとかと同じ冒険小説の書き手と思われているが、俺はむしろ、カート・ヴォネガット・ジュニアに近いと思う。いや、むしろキルゴア・トラウトかな。なんでだろう、翻訳が浅倉久志だったからかな。だいたいスノッブな田舎ものの文学かぶれが一度は通る道である。
そういえば短いシーンをカットバックの手法で積み重ねるやり方はいかにもトラウトっぽい。
本編はといえば、語ること、語らないこと、そしてうそをつくことに関する物語だった。
もう30年も前の作品で描写の所々に古臭いところ(鼠の親がどうやって財産を築いたかとか)があるが、作品がまとっている雰囲気は不思議と古さを感じさせない。…いや、ちがうな。古くないわけじゃない、かといって決して新しいというわけじゃない。今となってはある種のスタンダードとなっているような気がする。
特にあらすじらしきもののない、とても要約の難しい話で、まるで風のようにとらえどころがない。作品のテーマが作中で語られていない部分にあるタイプの小説。こういう、何かを求めているけれども何を求めているのかはっきり自覚できないもどかしさは、もしかすると誰もが持っているものかもしれない。その意味で、確かにこれはスタンダード足りえるのだろう。
さて、次はどうしよう。この作品だけでは村上春樹を俺の脳内カテゴリのどこかに納めるには少し足りない気もする。ひとまず「僕」と「鼠」の続きを探してみようか。
おまけの追加。村上春樹作品で聖地巡礼している人がいた。ははは。
村上春樹の「風の歌を聴け」を歩く
8月8日から26日までの間、村上春樹の「風の歌を聴け」を掲載します。1981年に大森一樹監督で映画化された「風の歌を聴け」が9月にDVD化されるのを記念して歩いてみました。続きを読む "「風の歌を聴け」"

