■「日本沈没」
小松 左京著 / 谷 甲州著
小学館 (2006.8)
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面白いなと思ったのは、筆者の思想や独白がどんな風に本文中に出てくるかという違い。
旧作は、がっつり小松左京味だった。登場人物の心理描写だった文章から、いつの間にか小松左京本人の深い深い思索に接続していく文章は、この作品に限らず氏の長編作品によく見られる特徴だ。とくに地の文や長台詞に傍点が出てくるところはそうだ。
対して谷甲州は、地の文ではほとんど自分の考えを書かない。人物の言動や小説内での背景の描写や事実関係の説明などを淡々と積み重ねていく。小松左京は小説を介してずばりと自分の思うところを書き連ねる。谷甲州は小説内の事実を並べて見せることで何かを表現しようとする。両者のスタイルの違いがよく判って面白かった。
とくに、終盤の田中首相と鳥飼外相の日本人論に関する論戦は実にエキサイティングだった。
鳥飼外相の唱えるコスモポリタニズムは、実はかなり茨の道ではないかと思う。よっぽどうまくやらない限り、
それでも、人類レベルで世界に貢献しつつ日本人としてのアイデンティティも確立するには、それしかないのではないかと読了直後の今は思う。
この感想文を書こうとしている過程でいろいろと検索してみたんだけど、少し驚いた文章がある。
終わらない「日本沈没」 小松左京さん、共著で第2部@
本よみうり堂
一方、日本人論としては、国土を失っても、その誇りを継承させようとする中田首相の愛国主義と、世界と共存するコスモポリタニズムを主張する鳥飼外相の対立が焦点となる。谷さんは、「僕の考えを中田首相に、過去の著作などから学んだ小松さんの考えを鳥飼外相に代弁させてみた」という。人類のために、日本人はどんな貢献ができるかという問いかけは、今日の世界にも重なる。
ははぁ。田中首相の愛国主義が、戦後生まれの谷甲州の意見を代弁したものだとは思わなかった(いわれてみれば腑に落ちる描写もあるけど)。
小松 左京著
小学館
(2006.1)
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小松 左京著
小学館
(2006.1)
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