2004年06月03日

[  些事極論  ]

ブッシュの誤解?曲解?

米大統領「第2次大戦同様、共闘を」・仏に呼び掛け 日経

3日からの欧州歴訪を前にしたこの日の演説で、大統領は自由を守るために第二次大戦でともに戦った記憶を呼び覚ますことにより、イラク戦争で対立したフランスに関係修復を呼び掛けた形。
フランスに呼びかけといて、じゃあドイツとイタリヤと日本はどうなるんだよって突っ込みはほかにもいっぱいしている人がいるんだろうね。とりあえずおいとく。
「テロとの戦い」は第二次大戦と同じ 米大統領演説 CNN
ブッシュ大統領は「テロとの戦い」について、「独裁者を信奉した人々と自由を信奉した人々との間で起きた、20世紀の壮大な争いに似ている」と描写。「我々の、この世代の目標も同じだ。自由を前進させ、我々の国を安全にし、平和を守るのだ」と強調した。
これは根本的に違う。素人目にも違う。
第2次世界大戦と現在の「テロとの戦い」とはまったく似ているところがない
第2次世界大戦は、まがりなりにも国家VS国家の図式が成り立っていた。戦時には敵国人は基本的に敵だ。個人個人の人となりや背景なんかたいして気にする必要はない、せいぜい軍人か一般市民か、戦う意志をもつか持たないか、そのくらいを気にしていれば、あとは半ば自動的に取り扱いを決定できた。戦争そのものの是非はともかく、戦時の当事者たちがなにか判断するときは敵か見方かの二分法で万事OKだ。そこでは軍隊の理屈がたいへん有効に働く。

これが「テロとの戦い」となるとどうなるか。
「テロ」とは地政学的勢力の名称ではなく攻撃手段の名称だ。テロの背景は千差万別で、必ずしも国家が背景についているとは限らない。一宗教指導者の予言を実現するために毒ガスを撒くテロが発生したのはほかならぬ日本だ。国家ないしは独裁者のほうがテロを利用することは大いにありうるが、テロの実行者自身はむしろ国家から離れたところで行動する。誰かわかりやすい敵を見つけて、物量で押しつぶしてもそれで終わるという保証がないことはまさしく現在進行中のイラク戦争(アルカイダは今でも元気だ)や、おなじく古くから進行中のイスラエルVSパレスチナ問題などが証明している。
カウンターテロに本当に有効なのは軍隊ではない。テロリストは一般市民の間に溶け込んで行動する。テロリストの行動は外国で活動するマフィアなどの行動とシームレスにつながり、マフィアそのものは他の国に暮らす同国人の互助会のような組織から発展していたりもする。それに対抗できるのは軍隊の行動原理ではない。軍隊の論理は、自分以外は基本的に敵とみなして差し支えない状況ではじめて有効に機能するものだ。ぎりぎりまで善意の一般市民と区別がつかない相手に対処できるのは、警察だったり税関だったり各施設の警備要員だったり、そういう人たちじゃないかと思う。たとえば某国の拉致だって、まず動くべきは警察なり公安なりだったはずだ。それらの機能が適時に適切に働かなかったから(働けなかったから?)、いま、外交問題で妙なこじれ方をしているともいえる。
ブッシュ自身はそのあたりのことに気がつかなくても、それを指摘できる人材はホワイトハウスならいるはずなのに、なぜこうも、素人にも指摘できるような的の外れた主張を続けるのだろう。

そのわりに、妙な気遣いはみせたりして。
米大統領、空軍士官学校卒業式挨拶で「偉大なる聖戦」省く ロイター

大統領は、60年前にアイゼンハワー連合軍司令官が将兵に送ったメッセージを引用して 現在の米国のテロとの戦いが、第2次大戦当時の対ナチスドイツとの戦いに似ているとしたが、イスラム社会の反発を招くことが必至となる「偉大なる聖戦」という個所を省いている。
けっきょく、国は相手にしても宗教は相手にしたくないってことか。アメリカ国内にもイスラム教は深く根を張っているだろうから、身の内からテロの芽をはやかしてたくなかったんだろうね。つまり、世界中の一般市民の間にテロリスト候補者を作ると、軍隊式では対処できないことはわかってるんだな。

おフランスにお愛想振り撒いてみたのはこれがあるからだろうか。
仏大統領、米英のイラク修正決議案に不満表明 読売

シラク仏大統領は2日、記者団に対し、米英両国が提示したイラク主権移譲に関する国連安保理決議の修正案について、「さらに改善すべき点がある」と述べ、イラク暫定政権の発言力を軍事面で強める必要があることを強調した。
アメリカは、最終的にどうしたいんだろう。もしかしてそろそろイラクから手を引きたいのか。少なくともアメリカひとりでイラクをしょって立つのはそろそろめんどくさくなってるのかも。もっとも、そうすると、いまアメリカが独占している各種利権をあきらめたりとか、極端な話、民主化した結果の反米政権誕生の可能性まで受け入れなきゃならないけど、どうだろうかそのへん。

「だれだって占領されるのは嫌」…米大統領が仏誌に 読売

ブッシュ米大統領は訪欧を前に、フランスの写真週刊誌パリ・マッチと会見し、「だれだって(外国に)占領されるのは嫌なものだ。私がイラク人の立場だったら、同じように思う」と話し、米軍の占領に反発するイラク国民に理解を示した。
 AFP通信が3日発売の同誌の内容を報じたところによると、大統領は、イラク人武装勢力について、「すべてがテロリストというわけではない。自爆犯はテロリストだが、ほかの武装勢力は違う。彼らは外国に占領されたくないだけだ」と分析。「だからこそ我々は、6月末までの完全な主権移譲を保証している」として、国連安保理に示した修正決議案への理解を求めた。
誰の口が言うのかという突っ込みは言わないでおこうと思う。

投稿者 snjx : 2004年06月03日 20:31
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