2004年01月16日

[  些事極論  ]

生殖と法律

高田延彦・向井亜紀 代理母出産記者会見
以前に、代理出産 日本籍取れず 法務省 「妻高齢」出生届を保留という記事を紹介したが、こちらの高田向井夫妻は、有名人の事例。記者会見を見ていても声高に叫んだりしない控えめな感じは、多くの人が好印象を持ったのではないだろうか。
しかし、体を張って十月十日の子守りをした金額が200万というのは高いのか安いのか。受け取り側の立場にたつとそんなにすごい値段でもないように思う。もっと高かったりしても驚かないだろうな。
前の記事を紹介したときでもちらっと書いたけど、法律を作ったときにはまさか人間の生殖にここまでテクノロジーが介入してくるだなんて考えてもいなかったろう。お釈迦様でも気がつくめぇ。
もっとも、今となっては血液検査なり何なりで出産後にいくらでも親子関係をしらべることができるので、現行法や判例の分娩主義が古めかしく見えるのはしょうがない。現状では高田夫妻も前の記事の夫妻も、血のつながった子供を養子縁組するしかないという奇妙な状態に置かれている。

関連した記事でこんなのも見つける。
代理出産:産科婦人科学会が禁止を決定 実施なら除名処分も
国内初の代理母出産 法規制の空白つく−−厚労省と学会に衝撃
記事中で言及されている罰則規定というやつがどのようなものか、ちょっと調べがつかなかった。たぶん、代理母を斡旋する者や施術する医者が罰を受けるのだと思う。出産を引き受ける女性には罰則はあるのだろうか。
これも臓器移植とかと同じで、本来なら人工子宮とかなんとかを使うべきなんだろうけど、そんなありもしないものを待っててもしょうがない。もし代理出産を積極的に合法とするなら、出産を引き受ける女性の保護を立法化する必要はあるだろうな。

いろいろ検索するとこういうページもあった。
バーチャルネット法律娘 真紀奈17歳生殖医療と法
どうもこの問題は、単純に法律が現在のテクノロジーをフォローアップできてないから発生したというだけじゃないらしい。自然の生殖以外は禁止しようと動きがあるようだ。この記事では、凍結精子から子供を作ることも法的には認められないようだ。なるほどと思ったのは、凍結精子が出産に使えるならば、男性にまったく意図と責任のない不意打ちの出産という妙なシチュエーションもありうるってこと。通常は、というか通常でなくても凍結精子が絡まなければ、たいがいは男性側に自覚的なある行為があってはじめて受胎ということになる。凸と凹の関係からいえば、凸がちゃんと凸にならない限り行為には及べないわけで(いや〜ん)。状況としては一度発生した責任を男性側が放棄してしまうということはありうるけど、最初からまったく男性に責任が発生しないということはまず考えられない。ところが凍結精子を保存しておけば、自覚的なある行為と実際の受胎が、時間的にも空間的にも切り離されてしまうのだ。これはメロドラマの新ネタになるかね。
まぁ、それはそれとして。
気になるのは、大人たちがそういう規制を{かける/受ける}のはいいとして、問題はその規制を受けた手段を行使してうまれてきた子供たちなんだよな。はたしてその子たちを迎え入れる社会は、その子たちが普通の人生を歩むことを許せるかどうか。
生殖細胞の保存技術はすでに確立されているわけだし、実際の出産と社会通念上の家族関係との間で齟齬が生じることは、特に驚くべきことでも嘆くことでもないと思う。人と人との絆の形はそれこそ人それぞれ。人がどのような関係にどんな価値を見出すかは、たった一つの見方に押し込められる性質ではないだろう。
親子関係や家族関係は、できるだけたくさんの組み合わせを検討して、法律は個人の選択の自由度をできるだけ広く取れるように作るべきだと思う。すでに生まれた者も、これから生まれる者も。

投稿者 snjx : 2004年01月16日 18:30
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